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なんにもない!(EVERYTHING GONE)
 〜タイ・インド洋大津波の痕跡を訪ねる旅2005〜

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◆カオラック Khao Lak

14.赤の他人


≪1階部分がことごとく破壊された建物≫

このひと月ではじめて雨が降った。
まるでアラレでも降ったかのように、人々が
雨のことを話題にする。
3月に入り、すずしい中にも雲ひとつない天気は
確実に移り変わりつつあるようだ。

タイ出発前のさいごの今日は
津波最大被害を受けたカオラックを見にいった。

プーケットタウンからバスで2時間。
全長25kmにわたって広大な空き地が広がる。
津波から2ヶ月、軍や国際援助機関などの働きにより
ほとんどのガレキはすでに撤去されていた。
あまりにもきれいなので以前の風景すら想像できない。

「ここはダイブショップがあって、そのとなりに
タイ料理のレストラン、そしてここにオープンしたばかり
のホテルがあったんだ」

と説明してくれたのはカオラック在住10年の
マイケル(スウェーデン)。

彼は津波のとき、たまたまエレファント(象)・
トレッキングに出かけていたので被害を受けずに
済んだ。だが、残された奥さん(タイ人)は今も
行方不明だ。所有していた店や財産も失った。

今は事業再開を希望している。だが、津波によって
すべてが流され、広大な空き地となったこのエリアの
使い道についてはタイ政府が決めることとなっている。
その間、マイケルのような人間は、自由に店を建てたり、
事業を開始することを許されない。
「こうやってビールを飲みながら待つしかないんだよ」
と、マイケルは悲しそうな目で話してくれた。

大切なものを失った人間は本当のやさしさを
知っているからだろうか。

彼は赤の他人である私をバイクの後ろにのせて、
バンニャンビーチを一つ一つ案内してくれた。



≪毎日ビールを飲んで気を紛らわしているというマイケル≫



 


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