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自分が生まれた国を、カメラとともにめぐる旅。


熊野古道(三重・和歌山) 2005年5月

★旅の始まりは伊勢神宮から

GWの連休に熊野古道へ。
巡礼のために何百kmも歩いた先人たちと
同じ道を歩けるなんてなかなか素敵じゃないか。
東京から夜行バスでいっきに名古屋へ。
さらにローカル線で三重県の伊勢神宮に到着。
「お伊勢さん」の名で親しまれている西日本最大の“聖地”だ。

まずは伊勢神宮でこれからの旅の無事を祈願。
でも本殿が塀で隠れていて、ほとんど見えない。
なんてケチな神社なんだ・・・。


≪伊勢神宮の内宮は屋根しか見えない≫


★伊勢路を歩く 〜馬越峠〜

気を取り直して、翌日いよいよ古道へ。

「熊野古道」は一つの道かと思っていたら、
目的地となる神社によっていくつもルートがあって、
全長は数百kmにも及ぶということだった。

主な神社は、速玉大社、那智大社、本宮大社と3つあって、
あわせて「熊野三山」と呼ばれているらしい。

とりあえず電車をうまく使いつつ、伊勢神宮から速玉大社、
那智大社を通って、紀伊半島の中心にある本宮大社を目指す
(つまり全部見てしまおうという欲張りな)ルートをとることにした。

まず今日は、馬越峠(まごせとうげ)を通る
6.5kmのコースを歩いた。石畳のトレッキングルートと
ヒノキの美林が美しい。見晴台からは尾鷲市(おわせし)が
一望できて気持ちよかった。


≪石畳を踏みつけて歩くのは気持ちいい≫


≪見晴台から見た景色。登ってきたかいがあった〜≫


★伊勢路を歩く 〜七里御浜、松本峠〜

翌日は電車に乗って、
いっきに熊野市まで南下。
七里御浜〜松本峠という4.5kmのルートを歩いた。
前日の山歩きと一転、今日は海岸沿いを歩くコースだ。

七里御浜は砂浜ではなく、
碁で使うような丸くてすべすべした小石の海岸。
波が打ち寄せたとき小石同士がぶつかって、
「ごごー」と迫力満点の轟音が響いた。

次の松本峠までは、高い木々に囲まれた
美しい古道がつづく。
展望所からは、大きな弧を描く七里御浜を
望むことができる。


≪松本峠までつづく石畳。ところどころに苔が≫


≪丘の上から七里御浜を眺める≫


★中辺路を歩く 〜いよいよ那智大社へ〜

旅も中盤。
さすがにこのへんまで来ると人が増えてきた。
熊野古道の中で最も美しいとされる
「大門坂(だいもんざか)」を通って、
熊野那智大社を目指す1kmの道のりを歩いた。

まずは樹齢800年という巨大な杉がお出迎え。
そこから苔が深くかぶった石畳の上り坂をずっと歩くと、
やがて那智大社へ。

大型の観光バスが何台も止まっていて、
ちょっと幻滅・・・。どうやら古道を歩かずに、
バスでいっきに那智大社までやってくる人も多いらしい。


≪苔だらけの巨木を見ると元気をもらえる気がする≫

表参道となっている長い石段を上り終えると、
ようやく熊野三山の一つ、那智大社へ到着!

比較的楽なコースばっかりだったので、
「やっとここまで来たぜ〜」という格別の思い
というのはとくにない。
青岸渡寺(せいがんとじ)の奥には、
落差133mの「那智の滝」が見える。


≪近くから見た那智の滝≫


★中辺路を歩く 〜本宮大社へ〜

午前中に新宮市内の熊野速玉大社や
神倉神社(かみくらじんじゃ)を散策して、
午後はついに熊野本宮大社へ。

湯の峰温泉から本宮大社へと続く
「大日越コース」と呼ばれる2.2kmの道を歩いた。
標高369mの大日山の中腹を越えなければならないが
そんなに大変ではない。

本宮大社は4つの社殿が横一列に並び、豪華。
でも観光客が多すぎて(って自分もその一人ですが)、
なんだか不思議な違和感を覚えた・・・。


≪本宮大社への最後の難関とされる大日越を歩く≫


≪本宮大社は伊勢神宮と違って近くから見れる≫


★大辺路を歩く 〜串本、潮岬〜

熊野詣も終わったので、再び紀伊勝浦に
戻って、こんどは紀伊半島を海岸線沿いにぐるっと
まわって大阪へと抜ける、「大辺路(おおへち)」と
呼ばれるルートを歩くことにした。

本州最南端に位置する町、串本から潮岬へ。
黒潮の影響もあって暖かい。
みかんなど柑橘類の匂いが漂う田舎道を
のんびり歩いていると、どこか
遠い南の国まで来てしまった感じがした。


≪紀伊大島の景勝地、海金剛(うみこんごう)≫


≪串本駅近くにある橋杭岩(はしくいいわ)。
岩で覆われた浜辺は歩けるようになっている≫


≪本州最南端・潮岬に到着! 
気のせいかあったかい。。海の向こうは太平洋だ≫


★1週間の旅を終えて

伊勢神宮を出発してから7日間。
「歩きとおしたぜ〜」という達成感は残念ながら、ない。
昔の人たちはこの参拝のために何ヶ月もかけて
入念に準備を重ねて、家事や仕事を休んで、
格別の思いを抱いてこの古道を歩いたに違いない。

その過程はおそらく目的地の神社で神様に向かってお祈りするのと
同じくらい重要で、そこにたどり着くまでの道のりそのものが
彼らにとっての≪修行≫だったのではないかと思う。
そんな彼らからしたら、自分のように途中の札所なども
すっ飛ばして、好きなペースで歩いて、見たいところだけ見るなんて、
なにもわかってないってことになるのかもしれない。

熊野古道は「古道」といっても、すべてがすべて
歴史があって、感動的に美しいわけじゃない。
どこの町にもあるような商店街を通ったり、小学校のそばを
通り過ぎたり、誰かさんの裏庭みたいなところを横切ったり、
田んぼの間を抜けていったり・・・。

でもそういった普通の道もぜんぶ含めて、風景を楽しみ、
歩くのを楽しみ、地元の食を楽しみ、出会った人たちとの
会話を楽しみつつ、聖地を目指して一歩一歩自分の足で
歩くのが、巡礼の旅の醍醐味なのだろうと思った。



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